2024.08.08 | 労務手続き
保険料率の改定について
■健康保険料率の改定
協会けんぽの健康保険料率および介護保険料率は、2024年3月分(4月納付分)から変更されます。
ちなみに、介護保険料率は、1.8%から1.6%に減少となっておりますので、40~65歳までの介護保険該当者はトータルでは保険料が下がります。
■労災保険料率の改定
労災保険料を算出するのに用いる労災保険料率は、業種ごとに加古3年間の災害発生状況を考慮し、毎年4月から改定されます。
今年は、全54業種中、17業種が引き下げ、3業種が引き上げとなります。
さらに、請負による建設の事業に係る労務費率(請負金額に対する賃金総額の割合)の改定も行われています。
2024年度の年度更新の際には、新しい労災保険率にて計算することになりますし、来年度に向けて人件費の計算などを行っているときには、労災保険率が変更されていないか確認しましょう。
■雇用保険料率は据え置き
2024年度の雇用保険料率は、昨年度と同様変更なしです。
一般の事業は1000分の15.5、建設の事業は1000分の18.5となります。
労働者負担分は一般の事業は1000分の6、建設の事業は1000分の7となります。
健康保険は3月分、雇用保険は4月分からの変更ですので、給与計算時には間違いないよう注意が必要です。
社会保険適用拡大のその後
さかのぼること令和4年10月から厚生年金・健康保険の適用拡大が行われており、企業規模が101人以上の企業規模に対しても、下記4要件に該当する場合に社会保険の加入義務が発生することとされました。
①週所定労働時間20時間以上
②月額賃金8.8万円以上
③2ヶ月超の雇用見込み
④学生ではない
社会保険への適用拡大が初めて行われたのは、平成28年のことで、この時は対象企業の規模が一般被保険者501人以上とされ、週20時間以上というこれまでの4分の3基準を大きく上回るその基準に、大企業はその対応に追われました。
ただ、今年の10月には、51人以上の企業まで対象になることが決定されています。
51人以上というのは、あくまで社会保険に加入している一般被保険者の数で判断されます。
月ごとに増減があり微妙なラインにいる企業は「直近12か月のうちに6ヶ月で基準を上回った場合」に対象となり、一度対象になければその後は基準を下回っても原則対象企業となってしまいます。
10月からはかなりの数の中小企業が該当することとなり、特にアルバイトなど短時間勤務の労働者を雇用している企業は対応の準備をしていかなくてはならないでしょう。
ただ、これで適用拡大が終了されるかというと実はそうではない可能性が出てきています。
今年2月の下旬に有識者会議が行われ、「そもそもの規模要件の撤廃」「週20時間未満の短時間労働者への拡大」「個人事業所における適用対象外業種の廃止」などの改正案が提示されたようです。
なかでも、個人的には週20時間未満の短時間労働者への拡大は可能性は薄そうかなと思う一方、規模要件の撤廃もしくは更なる拡大は将来に向けて有り得る改正案かなと思われるのでこれからの厚労省の発表には注意を払う必要があります。
なお、今年の夏を目処に一定の方針を発表する予定とされていますので、その動向には注視していきたいと思います。