2024.12.03 | 労務手続き

「減給」とはどんな懲戒処分?ルールと適用方法のポイント

減給とは?遅刻や勤怠不良への処分方法

「また遅刻か」という状況において行われる懲戒処分の一つに「減給」があります。遅刻した時間分を賃金カットするだけでなく、遅刻に対する懲戒処分として給与を減額する措置です。ただし、減給の適用にはトラブルを避けるための慎重な進め方が重要です。

減給が業務に与える影響

まず、業務に与える影響についてです。必要な人員が確保できないと業務が滞り、生産性が低下します。また、数分の遅刻であっても、定時に出社している社員にとっては不公平に感じられることもあります。このように、軽度の遅刻であっても、それを放置したままにすると社員全体の士気が低下し、職場全体の規律が緩んでしまうリスクがあります。減給は、こうしたマイナス影響を未然に防ぐ方法の一つとして活用されます。

減給対象の事例とその範囲

遅刻や業務遂行に対する懲戒処分として減給が行われるケースには、社内ミーティングや顧客との打ち合わせの遅刻も含まれます。とくに顧客先での遅刻は会社の信頼にも影響するため、厳しい処分が求められる場合もあります。

減給額の制限と計算方法

労働基準法では、減給額に以下のような制限が設けられています。

  • 1回の減給額:平均賃金の1日分の半額以内
  • 月の減給総額:1ヶ月の賃金総額の1/10以内

これにより、減給額が過度に大きくならないよう保護されているのです。

減給額の計算例

例えば、月給20万円で、1日の平均賃金が1万円の社員が遅刻した場合、1回の減給限度額は5,000円(1万円の半額)、1ヶ月における減給限度額は2万円(20万円の10分の1)です。

減給と賃金カットの違い

遅刻による給与減額には、「賃金カット」と「減給」の2種類があります。

「賃金カット」は、遅刻や欠勤による勤務時間の不足分に対し、給与を支払わない措置です。これは「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づき、勤務していない時間に対しては、賃金を支払わないことを指します。対して「減給」は、懲戒処分の一環で、遅刻を勤怠不良とみなしてペナルティを科すものです。

ちなみに電車遅延や事故渋滞など、本人の責任によらない理由で遅刻した場合でも、賃金カットおよび減給することは基本的に可能です。ただし、これらの処置を適用できるかどうかは慎重に判断する必要があります。

減給を行う際の注意点

減給を行うには、あらかじめ就業規則に明記しておくことが必須です。また、懲戒として減給に至るまでは、まずは口頭注意や始末書提出など、段階的に改善を促す方法が望ましいでしょう。減給が必要な場合は本人に弁明の機会を与えることで、処分を円滑に進めることができます。

減給を適切に実施するためのポイント

減給を行う際は、社員に対して弁明の機会を設け、処分の理由を理解してもらうことが大切です。いきなり減給や解雇などの重い処分を下すと、従業員の反発を招く可能性もあるため、慎重な対応が求められます。懲戒を通じて労働環境の改善や労働者の意識向上を目指すことが減給を効果的に活用するポイントです。

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