2024.04.30 | 労務手続き
雇用保険料引き上げ | 2024年4月から何が変わる? 影響と対策を分かりやすく解説
この4月から一般の事業で雇用保険料率が1.35%から1.55%に引き上げられることが決定しました。
■企業側負担0.95%、労働者側0.6%へ
雇用保険とは、労働者が失業した場合や、雇用継続が困難となる事情が生じた場合に、必要な保険給付を行う公的な保険制度です。代表的な保険給付として、失業した場合に支給される基本手当(失業手当)があげられ、労働者の教育訓練に関する給付も行っています。
2023年3月までは、特例として雇用保険料率のうち失業等給付にかかる部分が引き下げられており、これによって保険料は本来の1.55%ではなく1.35%となっていました。しかし、コロナ禍による雇用調整助成金利用の増大から、雇用保険財政はひっ迫し、雇用保険財政安定化のために、保険料率の引き上げが必要となったことが今回の特例措置終了の背景です。
■雇用保険料の負担割合はどうなる?
雇用保険料は、労使双方が負担していますが、引き上げ前における一般の事業であれば、1.35%のうち、労働者負担分が0.5%、事業主負担分が0.85%となっており、事業主の方が多く負担しています。今回の引き上げでは、労働者負担分と事業主負担分の双方が0.1%ずつ引き上げられ、1.55%になりました。
具体的な保険料負担を計算すると、月給が30万円の場合、引き上げ前で月額4,050円(労働者負担分1,500円、事業主負担分2,550円)の負担となっていました。これが引き上げによって、4,650円(労働者負担分1,800円、事業主負担分2,850円)となります。
一人当たりの金額としてみれば、わずかな額と思うかも知れません。しかし、保険料は毎月かかるものであり、多数の労働者を抱える企業であれば、大きな負担となります。
また、今回の引き上げは、労使双方にとっての引き上げであり、対象となる業種も限定されません。
そのため、一般の事業だけでなく、農林水産業・清酒製造業や建設業など一般の事業より高い保険料率が設定されている業種も等しく負担増となります。
毎月勤労統計調査 令和4年分
◆労働時間
労働者一人平均の総実労働時間(就業形態計)は、昨年比 0.1%増の 136.2 時間でした。
そのうち所定内労働時間は 0.3%減の 126.1 時間、所定外労働時間は 4.6%増の 10.1 時間となりました。
◆雇用
常用雇用(就業形態計)は昨年比 0.9%増の 51,342 千人となりました。
就業形態別にみると、一般労働者は 0.5%増の 35,130 千人、パートタイム労働者は 1.9%増の 16,212 千人でした。
◆現金給与総額と実質賃金
現金給与総額は前年比 2.1%増の 326,157 円 となり、1991年以来 31 年ぶりの伸び幅となりました。
一方、物価の変動を反映した実質賃金は前年比0.9%減少と、2年ぶりのマイナスとなりました。
現金給与総額(名目賃金)は、コロナ禍で落ち込んだ経済の回復を背景に 2.1%増加しましたが、賃金の実質水準を算出する指標となる物価(持ち家の家賃換算分を除く総合指数)が3.0%の上昇となったため、実質賃金はマイナスでした。
給与総額のうち基本給にあたる所定内給与は 1.2%増、残業代などの所定外給与は 5.0%増となり、賞与を含む特別に支払われた給与は 5.1%増と大きく伸びました。
就業形態別にみると、正社員など一般労働者の給与総額は2.3%増、パートタイム労働者は2.6%増えました。
厚生労働省は「コロナの影響で落ち込んでいたボーナスが4年ぶりに増加するなど給与は増加傾向であるものの、物価の上昇に賃金が追い付いていない状況」になっております。