2025.02.06 | 社会情勢

「フリーランス保護法」とは?立法の目的・発注者の義務を徹底解説

フリーランス保護法について

2024年秋に施行予定の「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」、通称「フリーランス保護法」をご存じでしょうか?この法律は、フリーランスの就業環境を守り、発注事業者とフリーランスの間で行われる取引を公正にするために制定されました。現在、多くの企業がフリーランスに業務を委託しており、この法律が施行されることで、取引の透明性や公正性が確保されることが期待されています。

立法の目的

フリーランス保護法の目的は、大きく2つあります。

まず1つ目は、フリーランスと企業の間で行われる取引の適正化です。フリーランスの労働条件や報酬が不安定な場合、企業とフリーランスの関係が不公平になることがあります。この法律は、そのような状況を改善し、フリーランスと企業が公正な条件で取引できるようにすることを目的としています。

2つ目は、フリーランスの就業環境の整備です。フリーランスとして働く人は、企業の従業員とは異なり、労働基準法などの法律で守られていない部分が多くあります。そのため、この法律は、フリーランスの労働環境を保護するために、発注者側に一定の義務を課すものです。

発注者の義務

この法律では、発注事業者に対して一定の義務が課されます。フリーランスとの取引を行う際、以下の義務を果たす必要があります。

1. 取引条件の書面による明示  
取引の内容や報酬の額、支払期日などを明確にし、書面で提示する必要があります。これにより、取引の透明性が確保され、フリーランスの側でも安心して業務を行うことができます。

2. 報酬の支払い期日設定と支払い  
発注者は、フリーランスに対して報酬を遅延なく支払わなければなりません。具体的には、納品やサービス提供後60日以内に報酬を支払う必要があります。この義務は、フリーランスに安定した収入を保証するための重要な規定です。

3. 禁止事項  
継続的な業務委託を行う際には、フリーランスに対して不当な条件を課したり、法律に違反する行為を行うことが禁止されています。これはフリーランスの権利を守るための措置です。

4. 募集情報の適正表示  
フリーランスを募集する際には、虚偽や誤解を招くような情報を掲載してはなりません。広告に掲載する情報は正確で最新のものでなければならず、誠実な取引を促進するための義務です。

5. 育児介護との両立に対する配慮  
フリーランスが育児や介護などをしながら働く場合、発注者は業務と両立できるように配慮しなければなりません。これは、働き方の多様化を尊重し、フリーランスが家庭の事情と仕事を両立しやすい環境を提供するための重要な規定です。

6. ハラスメント対策の体制整備  
フリーランスが働く際に、ハラスメントが発生しないように、発注者は相談対応の体制を整備しなければなりません。これには、フリーランスからのハラスメントに関する相談を適切に受け付けるシステムを整えることが含まれます。

7. 中途解約等の事前予告  
継続的な業務委託契約を解除する場合、原則として30日前までに予告を行う必要があります。これにより、フリーランスは突然の契約終了によって収入が途絶えるリスクを軽減することができます。

発注者の義務は、取引の形態や事業主の規模によって異なりますが、特に継続的な業務委託の場合には、多くの義務が課されることになります。今後もフリーランスと業務を進める企業の方は、この法律の遵守が求められることを理解しておきましょう。

定年後再雇用者の有給休暇

嘱託社員として定年後に再雇用された従業員の有給休暇について、企業がどのように対応すべきかご存じでしょうか?一度定年を迎えた従業員が再雇用される場合、年次有給休暇の取り扱いに悩む企業も少なくありません。このセクションでは、定年後再雇用における有給休暇の基本的なルールを解説します。

継続勤務年数と有給休暇

まず、再雇用された嘱託社員の有給休暇は、「継続勤務」として扱われるかどうかが重要なポイントです。労働基準法では、労働契約が実質的に継続している場合、勤務年数は通算されるとされています。これにより、定年後に再雇用された場合でも、以前の勤務期間が継続勤務として認められ、有給休暇の付与日数にも反映されることがあります。

例えば、以下の場合には「継続勤務」とみなされ、有給休暇が引き継がれます。
– 定年退職後、嘱託社員として再雇用された場合
– 臨時工が継続的に雇用契約を更新し、6か月以上勤務している場合
– 休職中の従業員が復職した場合
– 会社が解散し、新会社に従業員が包括承継された場合

これらのケースでは、勤務期間が途切れたと判断されず、有給休暇の付与が継続されることになります。

有給休暇の引き継ぎ

定年退職時に残っていた有給休暇が再雇用時に引き継がれるかどうかについても、多くの企業が疑問を抱きます。この場合、有給休暇の時効は2年間とされており、定年前に付与された有給休暇であっても、再雇用後2年間は取得可能です。

ただし、定年退職後に長期間のブランクがある場合や、再雇用までに相当の期間が経過した場合には、これに該当しない可能性もあります。そのため、企業はこの点を十分に考慮し、労働者の権利を守るために適切な対応を取る必要があります。

スマホを利用した勤怠管理

従来、タイムカードによる打刻が一般的だった勤怠管理ですが、最近ではスマホを利用した勤怠管理システムの導入が進んでいます。クラウド型の勤怠管理システムは、従業員が自分のスマホで簡単に出退勤を記録できる便利なツールです。しかし、私物のスマホを使うことに抵抗を示す従業員も少なくないため、導入時には工夫が必要です。

スマホ打刻のメリットと課題

スマホを使った勤怠管理には多くのメリットがあります。まず、従業員はオフィス外からでも出退勤を記録でき、リモートワークや現場作業を行う場合にも対応が可能です。また、タイムカードのような物理的なデバイスが不要となり、管理が簡素化されます。

しかし、私物のスマホを業務に使用することに抵抗を感じる従業員もいるため、導入には慎重な対応が求められます。従業員に私物のスマホの使用を強制することはできないため、導入時には従業員の理解と同意を得ることが重要です。特に私物のスマホを使いたくないと考える従業員もいることを考慮し、配慮が必要です。

スマホ打刻に対する対策

1つの方法として、従業員に勤怠打刻のための専用スマホを貸与することが考えられます。この方法であれば、私物のスマホを使わずに済むため、従業員のプライバシーに配慮しつつも、スマートな勤怠管理が実現できます。また、デスクトップPCを使用する従業員に対しては、パソコンのアプリケーションやウェブブラウザ経由で勤怠打刻を行うことも可能です。

さらに、新入社員に対しては、入社時に私物スマホでの勤怠打刻に同意を求めることで、事前に理解を得ておくことがスムーズな対応策となります。従業員に対しては、この新しいシステムを導入することで、彼ら自身の業務負担が減少することや、勤怠記録のミスが減るメリットをしっかり説明することも、協力を得るためには効果的です。

勤怠管理システム導入のポイント

スマホを利用した勤怠管理システムの導入には、会社と従業員の信頼関係を保ちながら進めることが肝要です。従業員にとっては、プライバシーや私物を業務に使用することへの懸念があるため、導入前にはしっかりと説明し、合意を得るプロセスが不可欠です。また、スマホを持っていない従業員や、スマホの使用に難色を示す従業員に対しては、代替案としてパソコンのデスクトップアプリや会社からの貸与スマホを活用するなど、柔軟な対応を検討しましょう。

新しい勤怠管理システムは、従業員と会社の双方にメリットをもたらすものであり、効率的な労務管理を実現するための有力なツールとなり得ます。最終的に、従業員が快適に使用できる環境を整えることで、システム導入の成功につながるでしょう。

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