2024.05.24 | 労務手続き
フリーランスと企業に影響 | 新法「特定受託事業者法」のポイント解説
フリーランス保護法とは?
2024年の秋頃に施行される予定の「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」通称フリーランス保護法はご存知でしょうか。会社の事業を行う上で、様々なフリーランスの方に業務委託をされることもあるかと思いますが、そのような事業者とフリーランスとの取引きを行っている両者に適用されることになります。立法の目的としてはフリーランスの方と企業などの発注事業者の間の取引の適正化と、フリーランスの方の就業環境の整備となっています。
フリーランス保護法の適用範囲
そのような法律ですので、発注事業者とフリーランスの間の「業務委託」に係る事業者間取引において、発注事業者に対して一定の義務を課すものになっています。おおまかには、発注事業者を大きく3つの形態に分け、それぞれ求められる義務を定めています。内容としては以下のとおりです(A~C全ての事業者においてフリーランスに業務委託をしているものとします。なお、原則としてフリーランス側は従業員を使用していないことが前提です)。
発注事業者の3つの形態
A. 従業員を使用していない事業主(フリーランスとはスポット業務委託)
B. 従業員を使用している事業主(同上)
C. 従業員を使用している事業主(継続的業務委託)
発注事業主の義務としては、下記のものがあり、A~Cそれぞれの形態によって変わってきます。
フリーランス保護法で求められる義務
1:書面等による取引条件の明示
2:報酬支払期日の設定および支払
3:禁止事項
4:募集情報の的確表示
5:育児介護等と業務の両立に対する配慮
6:ハラスメント対策に係る体制整備
7:中途解約等の事前予告
義務内容の詳細
これらの義務に対し、発注事業主の形態を合わせますと次のようになります。
A…①
B…①、②、④、⑥
C…①~⑦全て
継続的な業務委託を締結する場合には、相手方の仕事や生活に大きな影響を与えるため、多くの義務が課されることになります。
義務内容についての具体的説明
発注事業主に課せられる義務はその規模や契約形態によって最大7つ課せられることになりますが、それぞれ具体的には次のようになります。
A. 従業員を使用していない事業主(フリーランスとはスポット業務委託)
B. 従業員を使用している事業主(同上)
C. 従業員を使用している事業主(継続的業務委託)
1:書面等による取引条件の明示(全共通)
業務委託をした場合の、書面等による「委託する業務の内容」「報酬の額」「支払期日」等の取引条件を明示する
2:報酬支払期日の設定および支払(B・C)
発注した物品等を受け取った日から数えて60日以内の報酬支払期日を設定し、期日内に報酬を支払う
3:禁止事項(Cのみ)
フリーランスに対し、継続的業務委託をした場合に法律に定める行為をしてはならないこと
4:募集情報の的確表示(B・C)
広告などにフリーランスの募集に関する情報を掲載する際に、虚偽の表示や誤解を与える表示をしてはならず、また、内容を正確かつ最新のものに保たなければならない。
5:育児介護等と業務の両立に対する配慮(Cのみ)
継続的業務委託について、フリーランスが育児や介護などと業務を両立できるよう、フリーランスの申出に応じて必要な配慮をしなければならない
6:ハラスメント対策に係る体制整備(B・C)
フリーランスに対するハラスメント行為に関する相談対応のための体制整備などの措置を講じる
7:中途解約等の事前予告(Cのみ)
継続的業務委託を中途解除したり、更新しないこととしたりする場合は、原則として30日前までに予告しなければならないこと
フリーランス保護法遵守の重要性
このようにまとめると、フリーランスが急増したであろうコロナ禍の時期にこのようなガイドラインとなるような法律なく今まで来ていたわけですが、これからも続けてフリーランスの方と仕事を行う場合にはこの法律の規定を遵守して進めるようにしましょう。