2025.11.07 | 労務管理
育児・介護休業法の改正ポイントとは
「出生後休業支援給付」と「育児時短就業給付」とは
2025年4月1日以降、雇用保険法の改正により「出生後休業支援給付金」と「育児時短就業給付金」の制度が創設されました。
この改正により、育児休業関連の給付制度は従来の「育児休業給付金」「出生時育児休業給付金」に加え、合計で 4種類の給付が運用されることになります。
出生後休業支援給付金のポイント
給付対象期間と条件
この制度は、子の出生直後に両親が協力して育児に関わることを目的に設けられました。対象となる期間は「男性は出生後8週間以内」「女性は産後休業後8週間以内」とされ、その間に夫婦いずれか、または両方で通算14日以上の育児休業を取得することが給付の前提条件となります。日数は連続でも分割でも構いませんが、一定のまとまった育児時間を確保できるよう設計されています。
給付率・支給額
休業中の所得保障として、従来の育児休業給付金(賃金の67%)に加え、賃金の13%が上乗せされます。結果として合計で約80%がカバーされ、さらに社会保険料免除を含めると実質的には休業前の賃金とほぼ同等の収入を維持できる仕組みです。これにより、経済的な理由で育児休業をためらっていた家庭でも安心して取得できるようになることが期待されています。
給付額の上限
ただし、給付には上限が設定されています。2025年4月の制度開始時点では1日あたり15,690円が上限とされており、賃金の高い層では実際の手取りが8割を下回る可能性もあります。制度設計の狙いは「中小企業や標準的な賃金水準の労働者を広くカバーすること」にあり、今後の経済状況に応じて上限額が見直されることも想定されます。
要件の緩和ケース
本来は「夫婦双方で育児休業を取得すること」が前提ですが、例外としてひとり親世帯や配偶者が自営業・専業主婦(夫)で育児休業制度が利用できないケースでも、取得した本人に対して上乗せ給付が認められます。これにより、家庭の事情によって育休取得が制限される世帯にも配慮がなされています。
育児時短就業給付金の仕組みと支給要件
支給対象
育児時短就業給付金は、2025年4月から新たに始まった制度です。対象となるのは、2歳未満の子どもを養育しており、フルタイムではなく所定労働時間より短い勤務形態を選択した労働者です。これにより、育児休業を終えて職場復帰した後でも、柔軟な働き方を選びやすくすることが目的とされています。
給付額
時短勤務を選ぶと通常は収入が減少しますが、その減少分を一部補填するのがこの給付金です。支給額は 時短勤務中の賃金の10%程度を上限として算定される予定です。実際には、育児休業給付と似た形で「休業前の賃金水準」を基準に計算され、家計の大きな負担軽減につながることが期待されています。
支給制限・調整
給付の仕組みは「減った分を補う」設計となっています。具体的には、実際に支払われた賃金と給付金を合わせても、時短勤務前の賃金を超えないように調整されます。これにより、働き方に応じた公平な支給が担保され、制度の乱用防止にもつながります。
その他要件
利用にあたっては雇用保険の加入実績も条件となります。具体的には、時短勤務開始前2年間にみなし被保険者期間が12か月以上あることが必要です。また、すでに育児休業給付を受けていた場合には、その終了後に引き続き時短勤務に入るケースも対象とされます。これにより、育児休業からのスムーズな復帰を支援する狙いがあります。
その他注目すべき改正点(2025年以降)
育児・介護休業法の拡充
2024年5月成立の改正法により、子の看護休暇の適用対象拡大、短時間勤務制度の代替措置としてテレワーク導入などが盛り込まれています。
財政基盤強化と給付率見直し
育児休業給付金を支える制度の持続性を確保するため、国庫負担割合の引上げなどが検討されています。
段階的実施
改正の多くは2025年4月から施行とされており、制度運用開始までの準備期間を活用して企業側で制度見直しが求められています。
