2022.11.17 | 労務手続き
従業員の退職時に会社が行う社会保険手続きとは?雇用保険等の処理も解説
従業員が退職する場合、会社側は社会保険手続き、雇用保険の手続きなど必要な処理があります。
会社側が処理する必要のある手続きについて解説いたします。
退職時に会社が行う社会保険の手続き
それでは、従業員退職の際に会社が行う社会保険の手続きについて整理ご説明致します。
1 保険証の回収
従業員の退職時には保険証の回収を忘れないようにしましょう。
扶養配偶者と子供の保険証も返却が必要です。
2 被保険者期間の確認
社会保険の被保険者期間は加入月単位で計算します。
取得日の属する月から、喪失日の属する月の前月までの月数が被保険者期間となります。
給与計算で社会保険料を控除する際は、控除する回数に注意します。
資格喪失日は退職日の翌日となりますので、月末退職の場合その月の保険料が発生するので注意が必要です。
3 「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を提出
退職日の翌日から5日以内に、資格喪失届を事業所を管轄する年金事務所へ提出します。
回収した保険証は協会けんぽ(健康保険組合)返却します。
4 退職者が健康保険の任意継続を希望した場合
退職者が任意継続被保険者として保険加入を希望した場合、資格喪失証明書を発行します。退職すると翌日から健康保険の被保険者の資格を自動的に失いますが、退職の日まで継続して2ヵ月以上被保険者であった人は、退職したあと最長2年間は引き続き任意継続被保険者として健康保険に加入することができます。
退職に伴って会社が行う社会保険以外の手続き
次に、退職の際に処理が必要な「年金手帳の返却」「雇用保険被保険者証の返却」などの処理についてご説明いたします。
退職日までに行うこと
「年金手帳」を返却する
会社で年金手帳を預かっている場合は、退職日までに本人へ返却します。
マインバー制度が始まってからは、年金手帳を預かっていない場合もありますので注意
してください。
「雇用保険被保険者証」を返却する
雇用保険被保険者証は、失業給付の手続きに必要となるため会社で預かっている場合は、退職日までに本人へ返却します。実務的には、雇用保険の離職証明書の発行と同時に返却することとなります。
「退職証明書」を記載してもらう
退職者より退職証明書の請求があった場合、必ず出すようにしてください。書式については任意のものか、インターネットでダウンロードしたものに必要事項を記載します。
貸与品や資料を返却してもらう
貸与品や社外秘のデータなどは、退職日までに返却してもらいます。必要に応じて返却物のチェックリストを作成します。
退職後に行うこと
ここからは、従業員が退職した後に行う企業側の手続きについて説明いたします。
ハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出する
退職から10日内にハローワークへ資格喪失届を提出します。資格喪失届は退職届を
出してもらっていれば、トラブルを防止できる事が多いです。自己都合退職の場合は、退職届を出してもらうようにします。
ハローワークに「雇用保険被保険者離職証明書」を提出する
退職者から希望があった場合、退職から10日以内にハローワークへ雇用保険離職証明書を提出します。離職理由や給与金額等に誤りがないか確認後、署名してもらいます。
市区町村に「給与支払報告に係る給与所得異動届」を提出する
住民税を給与から天引きしていた場合(特別徴収)は、退職に伴い徴収方法の変更手続きが必要となります。退職日を含む月の翌月 10 日までに、住所がある市区町村に提出します。
退職者に「離職票」を送付する
ハローワークで資格喪失届を提出すれば離職票1が交付されます。雇用保険離職証明書を同時に提出した場合は、離職票1と同時に離職票2が交付されます。
離職票1と2は速やかに本人へ送ります。
退職者に「源泉徴収票」を発行する
料額について「給与所得者の源泉徴収票」を作成し、退職後1ヶ月以内に本人に送付します。
退職手当を支給する時は、「退職所得の受給に関する申告書」を提出してもらい「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」を退職後1ヶ月以内に本人に送付します。
退職手続きは社労士へ委託することも可能(まとめ)
上記のとおり、従業員の退職において多くの手続きを企業側で行う必要があります。
通常業務で忙しい場合、社労士事務所へ上記のような業務を委託し代行してもらうことができます。
もし他の業務などで退職手続きまで手が回らない場合は、社労士に依頼することも検討してみてはいかがでしょうか。