2023.01.30 | 働き方改革
長時間労働への労災の認定基準について
最近、過労死ラインである月平均80時間未満の残業であっても労災と認定し、過去の判定を覆すという事案がありました。
昨年9月に労災における脳・血管疾患に関する認定基準を改められ、過労死ラインに近い残業時間であれば、過酷な労働環境に伴う身体的負荷なども総合的に判断することが明記されました。
上記の処分取消しに係る事案も月の時間外が平均74~77時間といわれていましたが、当初の認定では労災と認められるに至りませんでした。
また、データでは2020年において残業が80時間未満で労災が認められた案件は全体の1割にも満たなかったそうで、機械的にライン引きをしていると批判されていたところです。
そこで、新基準においては従前の基準に達しないものの、労働時間以外の負荷が認められる場合には関連性が強いものとして見ることとなり、例えば「勤務間のインターバルが短いもの」であるとか「身体的負荷を伴うもの」であるなどを評価対象としています。
ちなみに今回の事例においての「時間以外の負荷」は、残業により深夜に帰宅することが多く、また空調施設もない作業場での高温スチームによる車の洗浄作業などの業務がこれらに当たると判断されたようです。
今後は、安全配慮義務を負う事業主として、単に労働時間だけではなく、従業員への負担の蓄積を業務内容からも把握すべきということでしょう。