2023.08.14 | 働き方改革
残業60時間超の割増賃金率引上げについて
働き方改革、というと少し前の流行語というイメージかもしれませんが、2019年4月に時間外労働の上限が設定され、年間5日の有給休暇の付与が義務化されたのがスタートしました。
しかし、あれこれと取り組みしようとしていた矢先に新型コロナウイルスが流行し、それどころではなくなったという会社もあったのではないでしょうか。
ただ、時間外の上限規制や有給休暇の年5日取得義務など、おおむね一般社会にも馴染んできたところかと思いますが、2023年4月1日より最後の「大物」がやってきました。
それは中小企業に対する月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率について、「50%以上」とするよう、改定されることになります。これまで、大企業のみ月60時間を超える残業割増賃金率が50%となっていましたが、2023年4月より、中小企業においても大企業と同様に、25%から50%に引き上げられることになりました。
もし、60時間を超えてから深夜業と絡んだ場合には、それぞれの割増率が加算されますので、その割増率は1時間あたり1.75(時間外割増50%、深夜労働割増25%)となり、通常賃金の75%も高い賃金を支払う必要があります。これは会社への影響もかなり大きいものと考えられます。
また、割増賃金の代わりに有給休暇を付与することも可能になります。25%の割増し分までは必ず金銭で支払う必要がありますが、それを超えた分は、労使協定に基づいて、休暇に振り替えることができます。
日頃から長時間労働への対策を検討されているとは思いますが、とはいえ負担を伴うものでは無かったため、「徐々に直せば…」というような状態の会社も多いかもしれません。
常態的に残業時間の多い会社にとっては、労働時間の適正な把握をすることから始め、各従業員の業務を平準化することや、業務の効率化を図るなど、残業時間を減らす方向で努力に取り組む必要がありそうです。
いずれにせよ、従業員の残業代を計算する際には、割増率の変動に気を付ける必要が出てきますし、就業規則の見直しなど必要な対策を準備しなければなりません。そもそも60時間を超える残業をさせない方向への改革が求められそうです。