2025.06.03 | 社会保険

社保倒産のリスク回避のために知っておくべきポイントとは?

社会保険の加入義務と支払いの重要性

すべての法人および、常時5人以上の従業員を雇用している個人事業主には、社会保険への加入義務があります。社会保険料は、所得税や法人税のように赤字で免除されるものではなく、加入している限り毎月支払わなければなりません。

万が一、社会保険料の支払いを滞納してしまうと、延滞金の加算や財産の差押えといったリスクが発生します。どのような流れでこれらの措置が取られるのかを確認しておきましょう。

社会保険料の滞納が原因で倒産するケースが増加

2023年度には、社会保険料の滞納を原因とした企業の倒産が138件に達し、過去最多を記録しました。コロナ禍による一時的な猶予措置が終了し、徴収が本格化したことに加え、円安や物価高の影響もあり、多くの企業が資金繰りに苦しんでいます。

ただし、社会保険料を滞納したからといって、すぐに差押えが行われるわけではありません。差押えに至るまでの流れを把握し、適切な対策を講じることが重要です。

滞納から差押えまでの流れ

1. 督促状の送付と支払いの催促

納付期限を過ぎると、1週間ほどで年金事務所から督促状と納付書が届きます。場合によっては、電話や訪問で支払いを促されることもあります。この段階で督促状に記載された期限までに支払いを済ませれば、延滞金は発生しません。

2. 延滞金の発生

督促状の指定期限を過ぎると、延滞金が発生します。延滞金は、納付期限の翌日から実際の支払い日前日までの日数に応じて計算されます。

3. 財務調査の実施

督促を無視し続けると、財務調査が行われます。この調査では、現金や預貯金、不動産、売掛金などの財産状況が確認され、差押えの準備が進められます。

4. 強制捜査の可能性

財務調査に応じない場合は、強制捜査が実施されることがあります。代表者の自宅への立入りや、取引先への聞き取り、不動産や預金の調査などが行われます。

厚生年金保険の場合、調査を拒否・妨害すると、厚生年金保険法に基づき6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性もあります。

5. 財産の差押えと経営への影響

財産の状況が把握されると、差押えが実行されます。不動産や売掛金が対象となるため、営業が困難になり、資金繰りが急速に悪化する可能性があります。

また、差押えが行われると金融機関や取引先からの信用を失い、融資が受けにくくなるだけでなく、従業員の離職が相次ぐなどの悪影響が発生し、最終的には倒産につながる恐れがあります。

社保倒産を防ぐために早めの相談を

社会保険料の滞納によるリスクを回避するためには、早い段階で専門家に相談することが重要です。日本年金機構によると、2023年度上半期(4月~9月)に厚生年金の滞納で財産が差し押さえられた事業所は約26,300社にのぼり、前年度の1年分に匹敵する件数となっています。

社会保険料の支払いに不安がある場合は、放置せずに早めに対応策を講じましょう。社労士や税理士に相談し、資金繰りの改善策を検討することで、社保倒産のリスクを減らすことが可能です。

早めの対策が、企業の存続と安定した経営につながります。

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